予算を抑えて家を建てたい方にとって、平屋の住宅は魅力的に思えるかもしれません。
なぜなら、平屋には階段がなく、建物の高さも低いため、費用が抑えられるように思えるからです。
しかし、その考えは誤解です。
実際には、平屋の住宅は非常に高価であり、むしろ裕福な人たちの象徴とも言えるのです。
では、なぜ平屋の住宅は高価なのでしょうか。
その理由を知りたい方もいらっしゃるかと思います。
また、予算を抑えながら家を建てる方法についても知りたい方もいることでしょう。
そこで、今回の記事では「平屋の新築」について詳しく説明します。
この記事では、平屋の価格が高い理由や、平屋のメリットとデメリット、平屋の価格を把握する方法などについてご紹介します。
記事を読んでいただくことで、平屋の住宅が高価な理由や、平屋の建物で得られる利点や欠点、そして平屋の価格を把握する方法などについて理解が深まることでしょう。
また、予算を抑えるための工夫やアドバイスも含めてご紹介しますので、安く家を建てる方法についても学ぶことができます。
平屋の価格が高い理由は
平屋の方が価格が高くなる理由について解説していきます。
広い敷地が必要
平屋を建てるには広い敷地が必要です。
つまり、平屋を建てるためには土地の面積が広くなるため、土地の価格も高くなります。
最初に見たときには、100㎡の敷地に100㎡の平屋を建てればいいと思うかもしれませんが、実際にはそう簡単ではありません。
なぜなら、土地には建ぺい率と呼ばれる制限があるからです。
建ぺい率とは、建築物の面積を敷地の面積に対してどれだけ建てられるかを示したものです。
建築物の面積とは建物を上から見たときの面積のことを指します。
建ぺい率は、敷地に一定の空地を残し、建物を安全で防火や衛生面でも良好な状態に保つために設けられています。
一般的な住宅地では、建ぺい率は50%や60%といった数値が多く設定されています。
例えば、建ぺい率が50%と定められているエリアでは、敷地の面積が100㎡の場合、建物は建築面積が50㎡までしか建てることができません。
残りの50㎡は庭や駐車場のスペースとして確保しなければなりません。
つまり、建物を建てるスペースとして使うことはできません。
また、土地には建ぺい率の他に容積率という指定もあります。
容積率は、延床面積を敷地の面積に対してどれだけ建てることができるかを示したものです。
延床面積とは各階の合計面積を指します。
容積率も100%や200%などの数値で指定されます。
例えば容積率が100%のエリアでは、100㎡の敷地に対して最大100㎡まで建物を建てることができます。
一般的な戸建て住宅の用地では、建ぺい率が50%、容積率が100%と定められていることが多いです。
つまり、建ぺい率が50%で容積率が100%の土地では、100㎡の敷地の場合、建築面積は50㎡まで、延床面積は100㎡までの建物を建てることができます。
つまり、1階を50㎡、2階を50㎡として計画すれば、延床面積が100㎡になりますので、2階建ての建物を建てることができます。
しかし、同じ土地で平屋を選択した場合、50㎡までしか建物を建てることができません。
もし100㎡の平屋を建てたいのであれば、200㎡の土地を購入する必要があります。
なぜなら、平屋を建てるためには通常、建物の広さと同じくらいの土地が必要になるからです。
このような要件を満たすためには、普通の2階建ての家よりも多くの土地が必要になり、その分土地代も高くなります。
また、建ぺい率が50%で容積率が100%の土地というのは、通常は2階建ての建物を建てることができる土地です。
しかし、平屋を建てることによって、貴重な土地の使用効率が低下することになります。
要するに、土地を贅沢に使ってしまっていると言えます。
平屋を建てることができるのは、広い土地を所有している金持ちの人々であり、平屋は彼らの贅沢な住宅とも言えます。
工事費が割高になる
工事費が割高になる理由の1つは、平屋の建築費が高い点です。
平屋は階段がないため、安くなると思われがちですが、実際にはそれ以上に価格が上がります。
建物には基礎と屋根があります。
例えば、50㎡の平屋と100㎡の2階建の場合でも、基礎と屋根はそれぞれ1つしか必要ありません。
基礎や屋根は建物にとって非常に重要な工事であるため、しっかりと施工される必要があります。
基礎工事や屋根工事には、見積りの中にそれぞれの工事項目が含まれます。
基礎や屋根の工事費が500万円かかるとすると、50㎡の平屋と100㎡の2階建を比較すると、1㎡当たりの工事費は平屋の方が高くなります。
もちろん、平屋には階段や2階の床の工事費用がなくなるメリットもあります。
しかし、基礎工事や屋根工事の費用が高額なため、結果的には平屋の方が建築費が高くなるのです。
例えば100㎡の平屋と100㎡の2階建を比較した場合、100㎡の2階建の方が建築費用は安くなります。
平屋のメリット
平屋のメリットは以下のようなものがあります。
家族が顔を合わせやすい
平屋の家は、建物自体が平らな構造をしているため、家族が自由に行き来しやすくなっています。
そのため、家族が顔を合わせる機会が増え、コミュニケーションを取りやすい環境が整っています。
一方、多くのテレビ番組で引きこもりの子供の様子が描かれることがありますが、引きこもりの子供は通常、2階にある子供部屋にこもってしまう傾向があります。
2階建ての家では、階段が存在するため、引きこもりを促進する壁となります。
そして、引きこもりが一度始まってしまうと、なかなか解消が難しくなってしまう建築構造です。
しかし、平屋では普段から家族が顔を突き合わせる機会が増えるため、家族同士のコミュニケーションを円滑に図ることができると言えます。
バリアフリーにしやすい
平屋は、階段が不要なので家の内部を完全にフラットにすることができます。
これにより、バリアフリーの住宅を建てることができます。
したがって、老後にも快適に暮らすことができます。
また、車いすの生活を送る場合や小さな赤ちゃんがいても、住みやすい環境を提供することができます。
さらに、地面に近い住まいなので、人間にとって非常に自然な感覚で過ごすことができます。
天井を高くできる
平屋建ては、一般的に土地の制限にほとんど影響されず、天井の高さを自由に設定することができます。
天井を高くすることで、同じ広さの空間でも非常に広々と感じることができます。
ホテルの結婚式場のような場所は、天井が高く設計されていますが、天井を高くすることで人々は空間をより広々と感じるようになるのです。
そのため、平屋建てでは天井を高く設けることで、広々とした家を作ることができるという利点があります。
平屋のデメリット
平屋にもデメリットはあります。
採光が悪い部屋ができる
平屋は日当たりの悪い部屋ができやすいというデメリットがあります。
四角形の形をした家の場合、南面を向いている部分は平屋の場合、1階の1面のみです。
それに対して2階建てでは、南面を向いている部分は1階と2階にそれぞれ2面ずつ設けることができます。
したがって、南向きの部屋を作ろうとした場合、2階建てであれば1階と2階にそれぞれ作ることができますが、平屋であれば1階に1つしか作れません。
南向きの部屋を1階に1つ作った場合、残りの部屋は東や西、北に面した部屋になります。
その結果、全体的に日当たりが悪くなってしまいます。
平屋で日当たりの問題を解消するためには、中庭を作ることが考えられます。
中庭を作れば、北側に配置された部屋でも南側の中庭から日当たりを確保することができます。
ただし、中庭を作るためには、より広い土地が必要となります。
元々、広い土地でなければ平屋を建てることはできませんが、さらに日当たりを良くしようとすると、より広い土地が必要となります。
土地が狭いと狭くなる
土地には建ぺい率という規制があります。
建ぺい率は、土地の面積に対して建物が占めることができる割合を指定しています。
平屋の場合、建物の面積が広くなるため、土地が狭いと建ぺい率の制限により建物が狭くなってしまいます。
一般的に、土地が狭い場合には、3階建ての狭小住宅を建てることが多いです。
狭い土地で3階建てにすることで、建物を上に伸ばすことによって面積を広げることができます。
これにより、狭い土地のデメリットを解消することができます。
平屋を建てる場合、建物を上に伸ばすことなく一層で建てるため、狭い土地のデメリットを何も解消することができません。
むしろ、狭い土地に平屋を建てることは、より狭さを強調してしまう結果となります。
そのため、平屋を建てるのであれば、土地の広さには十分な余裕が必要です。
もともと広い土地を持っている場合は、平屋を建てることも考えられます。
土地の広さに余裕があるため、平屋でもゆとりのある住まいを実現することができます。
しかし、土地を購入する場合は注意が必要です。
土地の広さによって建物の形状や面積に制約が生じるため、どの程度の広さの土地が必要かを事前に検討することが重要です。
土地を購入する際には、建ぺい率や建物の予定面積など、詳細な情報を確認し、思い描く理想の住まいを実現する土地を選ぶようにしましょう。
価格が割高
一階建て住宅の主な欠点は、その価格が高いという点です。
建築にかかる費用が他の構造に比べて高くなるばかりでなく、広い居住スペースを確保するために、広い土地が必要となります。
まとめ
平屋がお金持ちの家と言われているのは、その建築コストが高いからではなく、実際に住む人の資金的な余裕と土地の広さに関連しています。
平屋の新築は一般的に高額な費用がかかりますが、それは、建物を広げる必要があるためです。
たとえば、二階建ての家と比べると、同じ広さの間取りにするためには、平屋ではより広い敷地が必要となります。
しかし、もし十分な広さの土地を所有しており、かつ経済的に余裕がある場合には、平屋の新築はおすすめです。
なぜなら、平屋は一階建てなので、階段や二階の設備が不要になり、空間を有効に活用できるからです。
また、家族や来客が移動しやすく、高齢者や身体的な制約のある人にとっても利便性が高いです。
さらに、平屋の建築費用が高いと言われる一因には、高品質な素材やデザイン性の高い仕上げを求めるケースもあります。
お金持ちの方々は、豪華な内装や広い敷地、美しい庭園など、贅沢な生活を追求する傾向にあるため、そのために多くの費用をかけることがあります。
要するに、平屋がお金持ちの家とされるのは、建築費用の高さではなく、資金的な余裕と土地の広さに関連しています。
財力に余裕のある人が、平屋を選択することで、より贅沢で快適な暮らしを実現できるのです。